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STAFF BLOG2019.07.16 / 増沢
全館冷暖房高断熱住宅に想う
こんにちは。県央支店 工務の増沢です。
夏のような暑い日が多くなり暑く湿気も多く過ごしづらい日が続きます(執筆時は7月初め)。
そんな時 “快適な空間で過ごしたい” と思います。
そこで最近よく耳にする「全館冷暖房高断熱住宅」について考えてみました。
<全館冷暖房高断熱住宅>
全館暖冷房を行っているような高断熱住宅を見ていると、電気代が驚くほど安い住宅と、思ったより高い住宅があります。
よく見ると、暮らし方についてもいくつか違いが見られます。
(思ったより高い住宅の場合、そもそも一次消費エネルギー計算までしていくらの電気代を想定していたのか…?という話ですが)
高断熱住宅の暮らし方は主に 2 タイプ、快適性重視タイプと省エネ重視タイプに分けられるのではないかと思います。
それぞれに特徴があり、指向によって住宅のカタチが変わるので、それぞれどういう違いがあるのかを考えてみたいと思います。
<快適性重視タイプの高断熱住宅>
快適性重視タイプの高断熱住宅とは、全館空調、24時間エアコンなどによって、常に最適な温度と湿度を維持しようとする住宅です。
窓を開けて通風を行うことはほとんどありません。
日射熱はオーバーヒートしない程度に利用するため、あまり活用できず、夏の遮熱を重視する傾向があります。
温度と湿度のコントロールを行うためには、外気の影響を最小限にする必要があります。
換気量を必要最小限にする必要があり、高い気密性能も求められます。
空調の効果を高めるため、全熱交換型の第一種換気システムが効果的です。
気温がそれほど高くなく湿度が高いときに湿度を維持するためには、エアコンの再熱除湿機能が重要です。
(因みにこの再熱除湿機能使用時が一番電気代がかかるという話も…)
非常に快適な住み心地が得られ、床は暖かく、洗濯物は年中さまざまな場所で乾かすことができるでしょう。
窓を開けないので騒音や音漏れが気にならず、砂やチリが入ってきたりする心配もありません。
デメリットは、多様な間取りなどを実現するには知識が必要で工夫しなければいけないことが多く、うまく実現して管理するのが難しいということです。
電気代も高くなりがちです。
換気や気密に問題があり、全熱交換換気が十分に機能を発揮できていないと、湿度を管理できないだけでなく、電気代が非常に高くつくことにもなります。
<省エネ重視タイプの高断熱住宅>
省エネ重視タイプの高断熱住宅とは、エアコンなどで全館暖冷房を行うにしても、一日のうちの多少の温度変化は許容し、湿度管理にはこだわらず、エアコンの使用を極力控える住宅です。
夏は弱冷房で温度を下げ、60% 程度の湿度を目指すのであれば、家中冷房しても電気代もそれほどかかりません。
中間期には通風を活用します。
冬は日中にややオーバーヒート気味(?)に日射熱を取得し、夜間の温度低下を許容して、朝に 15 度くらいの温度があればいいと考えるならば、暖房費をかなり抑えることができます。
新住協のQ1.0住宅や、無暖房住宅は、このような暮らし方を想定しているのではないかと思います。
快適性重視タイプと比べると快適性は劣りますが、それでも冬の朝方に 10 度を切るような木造住宅と比べれば、ずいぶん快適でしょう。
ある程度の断熱性能と気密性能を確保していれば実現しやすく、省エネな生活を送ることができます。
問題は、外気の影響を強く受けることです。
窓を開けて通風を利用する際は、外気の温度や湿度の動向を見誤ると、気づいたときには不快な空気質になっていることがあります。
また、梅雨時に洗濯物を部屋干しする場合には工夫が必要です。
一部の部屋を閉め切ってエアコンや除湿器を利用したり、乾燥機を導入したりする必要があるでしょう。
考えた暮らし方が必要ですね。
これらは必ずしも二者択一では無く、断熱性能と気密性能を確保しておけば、中間的な選択もできるし、時期によって使い分けたりすることが可能なこともあります。
ただし、日射熱取得の程度や、空調・換気システムの選択、通風を考慮するかどうかは、家のカタチに影響してきます。
ある程度の方向性は家の設計段階で決めておき、さまざまなケースを考えておく必要があります。
総合的な設計力が大事ですね。
私の個人的な好みでは快適性重視タイプでありたいと思っています。
というのも家の間取りや外観、適した性能はほとんどその土地条件が教えてくれると考えているからです。
(自然に逆らっても良い事は無い・・・)
もちろん快適性重視タイプでも床もポカポカな家は可能です。
極論を言うならば絶対にマイホームで実現したい事がある!と思ったらそれに適した建築条件の土地を探す事が理想のマイホームの近道なのかなと思います。
(あくまで理想ですが…)